グリストラップとは?役割・仕組み・清掃方法・トラブル対策までわかりやすく解説
飲食店や食品工場、給食施設など「油を使う現場」で必ず話題になるのがグリストラップです。
名前は聞いたことがあっても、「具体的に何をしている設備なのか」「掃除しないと何が起きるのか」まで理解している人は意外と多くありません。
グリストラップは、厨房排水に含まれる油脂や食べカスを下水へ流さないための重要な装置です。
正しく管理できていないと、悪臭・詰まり・害虫発生・営業停止リスクなど、現場に大きな損失をもたらす原因にもなります。
この記事では、グリストラップの基本から、構造、清掃頻度の目安、よくあるトラブル、外注の考え方まで、実務目線でまとめます。
グリストラップとは何か
グリストラップ(Grease Trap)とは、厨房から出る排水に含まれる油(動植物油脂)や残渣(食べカス)を分離・回収し、下水や排水管へ流れ込むのを防ぐ設備です。
飲食店のシンク・食洗機・調理台の排水などは、油や細かな固形物を含みやすく、そのまま排水管に流すと配管内部に油脂が付着し、徐々に固まり、やがて詰まりや逆流の原因になります。
グリストラップはこの問題を「施設内で食い止める」ための装置で、いわば排水の関所のような存在です。
油は水より軽く浮く性質があり、この比重差を利用して油脂を分離します。
なぜグリストラップが必要なのか
グリストラップが必要な理由は大きく3つあります。
1)排水管の詰まり防止
油は温かい状態では液体でも、排水管内で冷えると固まりやすく、配管内壁にこびりつきます。
そこに食べカスが付着すると、まるで「油の接着剤」のように汚れが増えていき、詰まり・逆流につながります。
2)悪臭・害虫発生の抑制
油脂や残渣が溜まり、腐敗が進むと強烈な悪臭が発生します。
さらに、腐敗臭はコバエ・ゴキブリ・ネズミなどを誘発し、衛生管理上の大きな問題になります。
3)環境・法令・近隣トラブル対策
油脂が下水へ流出すると、下水処理設備への負担が増え、地域全体の衛生にも影響します。
自治体や建物管理規定で、グリストラップの設置・管理が求められるケースも多く、管理不十分は指導・是正につながる場合があります。
ビルテナントでは、詰まり事故が起きると他店舗やビル全体へ被害が及ぶこともあるため注意が必要です。
グリストラップの構造と仕組み
一般的なグリストラップは、箱型の槽の中がいくつかの区画に分かれており、主に次のような構造です。
第1槽:残渣(食べカス)を沈める
排水が入って最初に通る場所で、ここでは大きめの固形物が沈殿します。
バスケット(カゴ)が入っているタイプも多く、食べカスを取り除きやすいようになっています。
第2槽:油脂を浮かせて溜める
油は水より軽いので、時間を置くと表面に浮きます。
ここで油脂が層となって溜まり、下水へ流れないように分離します。
第3槽:仕上げ(トラップ機能)
最後に比較的きれいになった水が排出されます。
仕切り板(バッフル)で油が流出しにくい構造になっていることが一般的です。
※実際には2槽式や3槽式、厨房規模に応じた容量など、形はさまざまです。
清掃しないとどうなる?よくあるトラブル
グリストラップは「設置したら終わり」ではなく、定期的な清掃が前提です。
放置すると、次のようなトラブルが起きます。
- 厨房や店内に下水臭・腐敗臭が漂う
- コバエ・ゴキブリなど害虫の温床になる
- 排水の流れが悪くなり、シンクに水が溜まる
- 配管が詰まり、最悪の場合逆流・溢れが起こる
- ビル全体や隣接店舗に被害が波及し、損害賠償リスクになる
- 営業継続に支障が出て、清掃費以上の損失が発生する
つまり、グリストラップ清掃は「コスト」ではなく、事故防止の保険とも言えます。
清掃頻度の目安(店舗規模で変わる)
清掃頻度は、業態・客数・油の使用量・槽の容量で変わりますが、目安は次の通りです。
日常(毎日~数日に1回)
- バスケット内の残渣回収(食べカス)
- 表面に浮いた油脂の回収
放置すると臭いと害虫が一気に増えます。
定期(週1回〜月1回)
- 仕切り板周辺の汚れ除去
- 槽内の沈殿物(ヘドロ)の除去
この「沈殿物」が腐敗の原因になりやすいです。
専門清掃(1〜3ヶ月に1回、または半期〜年1回)
- 槽内の本格洗浄(汚泥・油脂の徹底回収)
- 高圧洗浄、配管洗浄、消臭処理
油の多い店舗(ラーメン、焼肉、揚げ物中心)は頻度が上がりがちです。
自分で掃除する手順(基本)
グリストラップ清掃は、日常管理レベルなら店舗でも可能です。基本手順は以下です。
- フタを開けて換気(臭気対策)
- バスケットの残渣を回収し、密閉して廃棄
- 表面に浮いた油脂をすくい取る(専用の網・ひしゃく等)
- 沈殿物を回収(できる範囲で)
- 仕切り板や周辺をブラシで洗浄
- フタを閉め、周辺を拭き上げて終了
注意点として、回収した油脂や汚泥は自治体ルールや産廃扱いになる場合があります。流しに戻すのは絶対NGです。
清掃を外注したほうがいいケース
次のような場合は、専門業者への外注が現実的です。
- 臭いが強く、スタッフが作業できない
- 汚泥が固まっており、回収が難しい
- 排水の流れが悪く、詰まりの兆候がある
- 害虫が発生していて衛生面の改善が急務
- ビル管理規定で定期報告・専門清掃が求められている
業者清掃では、汚泥・油脂の回収だけでなく、必要に応じて高圧洗浄や配管洗浄まで行えるため、トラブルの根本原因に手を入れられます。
グリストラップ管理で失敗しないポイント
最後に、運用のコツをまとめます。
- 「毎日やること」を固定化(残渣と油の回収だけでも効果大)
- 写真やチェック表で見える化(担当が変わっても品質が落ちない)
- 臭い・流れの悪さを感じたら先回りで専門清掃
- 油を流さない工夫(拭き取り、油処理剤、ストレーナー活用)
- 定期的に業者点検を入れて、詰まり事故を未然に防ぐ
まとめ:グリストラップは「厨房の衛生と営業を守る設備」
グリストラップは、厨房排水の油脂や食べカスを分離し、排水管の詰まりや悪臭、害虫、事故を防ぐための重要設備です。
放置するとトラブルが連鎖し、清掃費以上の損失につながることもあります。
日常管理と定期清掃をうまく組み合わせ、店舗の規模や業態に合った運用を作ることが、衛生管理と安定営業の近道です。

